中小企業経営強化税制(生産性向上設備等に係る即時償却等)【税制改正大綱:法人税(所得税)】

中小企業投資促進税制の上乗せ措置について、中小企業等経営強化法が平成28年7月1日から施行されたことに伴い、名称や要件等を変えての延長というイメージです。

・特別償却(即時償却)又は税額控除(7%or10%)の選択適用

・要件
①中小企業等経営強化法の経営力向上の認定を受けた中小企業者等
②特定経営力向上設備等を取得
③経営力向上計画、経済産業大臣の認定など

①について、認定状況は、平成28年11月30日現在でこのような状況です。(中小企業庁)
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2016/160902kyoka.htm
認定事業者5,644件。長野県は、200件。この制度の適用要件にもなりますし、国定資産税の軽減措置、ものづくり補助金の加点など、経営力向上計画は、早々に申請書を提出した方が、良いです。

中小企業等経営強化法が施行され、認定されていることが重要に今後もますますなってくると予想されます。ここ、大事です。

②③については、特定経営力向上設備等となっていますが、イメージは、既存の生産性向上設備等です。
・「経営力向上計画に記載された」機械装置、工具、器具備品、建物付属設備、ソフトウェアで一定のもの。
・工業会の証明書又は経済産業大臣の認定。

その他、細かい要件がありますが、主な要件としては、このような感じです。

・適用時期
平成29年4月1日~平成31年3月31日

確定申告書の提出期限の延長の特例【税制改正大綱:法人税】

法人税の確定申告書の提出期限の延長です。

通常、決算日から2ヶ月以内に、法人税の確定申告書(住民税・事業税も)を税務署に提出し、納付しなければなりません。

従来も、法人税の確定申告書の提出期限の延長の特例により、決算日から3ヶ月以内に期限を延長することができました。
適用の要件としては、決算日から2ヶ月以内に会計監査人の監査を受けなければならない等の理由により決算が確定しない常況にある法人が申請書を提出した場合です。
但し、「提出期限」の延長なので、納付自体は、決算日から2ヶ月以内に見込みで納付する必要があります。

ちなみに、消費税の確定申告書の提出期限の延長はありません。

・税制改正大綱内容
①「会計監査人」(公認会計士、監査法人などのこと)を置いている場合。
②決算日から3ヶ月以内に株主総会が招集されない常況。
①と②の要件を満たすときは、決算日から4ヶ月以内の範囲内において、確定申告書の提出期限を延長することが可能になります。(法人事業税の確定申告書は、6ヶ月以内。法人住民税については、大綱で見当たらないですが、課税標準が法人税なので、同じように延長することになると思います。)
この要件ですと、連結子会社は、間接的に監査法人にチェックされることはあっても、会計監査人を設置をしていない所は、対象外ということになります。

既存の場合には、必ずしも「会計監査人」の監査が必須ではありませんでした。
よって、今回の提出期限の延長の対象になるのは、上場企業などの大会社が主になります。
中小企業でも会計監査人を設置することは、可能(任意)ですが、会計監査人になれるのは、公認会計士や監査法人ですので、なかなか中小企業で会計監査人を設置しているところは、少ないでしょう。

試験研究費の税額控除:中小企業【税制改正大綱:法人税(所得税)】

中小企業技術基盤強化税制についても、試験研究費の増加額に係る税額控除の廃止によって、2年間の時限措置が講じられます。

中小企業については、試験研究費の税額控除率は、12%です。
そこに、上乗せ措置という形で、増加額、高水準型の選択適用がありましたが、増加額制度の方は、廃止になります。

・時限措置(試験研究費の増加割合が5%を超える場合)
①(増加割合-5%)×0.3
※12%と合わせて、17%限度

②控除税額の上限、25%に10%の上乗せ措置。

④高水準型の制度の適用の代替
(試験研究費割合-10%)×2
※10%限度

平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除制度(高水準型制度)とこれらの時限措置も含めて、最も税額控除が大きくなるように適用を選択する必要があります。
重複適用できる部分と出来ない部分があり、判定は慎重に行う必要があります。

・試験研究費の増加割合が5%を超えない場合
高水準型制度と時限措置③との比較

・試験研究費の増加割合が5%を超える場合
①本体部分の12%控除と時限措置①の控除額が、法人税額上限の25%を超える。
 時限措置①と時限措置②、高水準型を適用。

②本体部分の12%控除と時限措置②の控除額が、法人税額上限の25%に満たない。
 時限措置①と時限措置③又は時限措置①と高水準型との比較。

税政改正大綱を読む解く限りでは、時限措置の増加制度の補填部分と高水準型を両方受けることができる(ただし、法人税額25%限度)ようです。
判定が少し面倒ですが、税務システムに必要情報を入力すれば、判定できるように、システム屋がプログラムを修正してくれるでしょう。
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総額(時限措置)の部分は、本体部分の総額制度と合算して計算するのが適切です。便宜上、Excelシートなので、分けて計算しています。

試験研究費の上乗せ制度に係る時限措置【税制改正大綱:法人税(所得税)】

平成29年度税制改正大綱においては、試験研究費の増加額に係る税額控除制度が廃止され、平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除制度については、適用期限を2年延長されることになります。

・2年間の時限措置
①試験研究費の総額に係る税額控除制度の控除税率の上限10%を14%に引き上げる。
増減割合に応じて、控除税率が変わるので、過去の試験研究費(比較試験研究費)と比べて、当期の試験研究費が大きく増加していればいるほど、控除税率が14%上限なので、恩恵を受けることができます。

②平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除制度について、既存の方法に代えて、次の方法による計算も適用できる。
控除税率=(試験研究費割合-10%)×2
 ※控除税率は、10%限度。

代替で計算した場合の法人税額による控除限度額は、
法人税額×25%-試験研究費の総額に係る税額控除額の残額です。
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Excelなどで、概算計算しているところは、総額制度の方も含め、計算式の修正誤りがないように注意が必要です。もちろん、まだ、税制改正が成立したわけではないですし、翌年度以降の事で、先の内容になりますが、予算等には影響してきますからね。

試験研究費の総額に係る税額控除制度【税制改正大綱:法人税(所得税)】

試験研究費の税額控除に関しては、毎年と言っていいほど、変更があります。

平成29年度税制改正大綱においても、
①試験研究費の総額に係る税額控除制度の控除税率の見直し。
②試験研究費の増額に係る税額控除制度の廃止。
③平均売上金額の10%を超える試験研究費に係る税額控除の延長(2年)。
④上記、②③の影響に伴う時限措置。
⑤試験研究費の範囲の拡大(特別試験研究費を含む)。

というように、主に計算方法が変更になる訳ですが、試験研究費の範囲が拡大する点が今回は盛り込まれています。

・試験研究費の総額に係る税額控除制度の控除税率の見直し。

今までの控除税率
試験研究費割合×0.2+0.08(小数点3位未満切り捨て)
※10%限度

税制改正大綱:増減割合に応じて、控除税率が変わります。
イ:増減割合5%超:9%+(増減割合-5%)×0.3
 ※10%限度⇒14%限度(2年間の時限措置)

ロ:増減割合5%以下:9%-(5%-増減割合)×0.1

ハ:増減割合が-25%未満:6%

増減割合は、当期の試験研究費の額から比較試験研究費をマイナスした金額(試験研究費増減差額)の比較試験研究費の額に対する割合です。
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※今回の計算では、時限措置(14%限度)では、計算していません。

前年からの増加割合が少ない(前年割れ)と、既存の税額控除と比べると、控除額は大きく下がります。
また、試験研究費の増額に係る税額控除制度も廃止になります。その分は、時限措置でカバーされますが、今後は、試験研究費の総額に係る税額控除制度、本体部分についても、過去と比べて、試験研究費の額が「増加」しているかどうかが、控除税率に大きく影響してくることになります。
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中小企業退職金共済制度

小規模企業共済、中小企業倒産防止共済、そして、中小企業退職金共済。

小規模企業共済や中小企業倒産防止共済と比べて、更に知られていない共済です。

小規模企業共済は、事業主の将来の退職金に備えるための共済でした。
中小企業退職金共済制度は、「事業主」の退職金に備えるために支出した掛け金について、法人の場合には、損金として、個人事業主の場合には、必要経費になります。通常、退職金については、退職した時点の事業年度に、支払った金額が一気に損金や必要経費に計上されることになります。この制度を利用すると、損金や必要経費の計上時期を前倒しすることができ、また、従業員の退職金を確保しておくことができます。

特定の従業員だけ、という事は出来ず、加入した場合、全従業員が対象になります。

新規加入の場合、現在、1年間、掛け金月額の1/2国から助成金があります。

従業員の月額掛け金の最低単価は、5,000円です。

退職金は、従業員を解雇等した場合でも、従業員に直接支給されます。

この共済制度を上手に活用してみては?

前払費用

利益が出そうなとき、経費を増やそうと、モノを購入する。支払いをする。

お金を払えば、その時の経費になって、節税になると考える方がいらっしゃいます。

しかし、必ずしも経費になるとは、限りません。

その代表が、固定資産です。原則として、金額が10万円以上のモノで、1年以上使えるようなモノについては、耐用年数に応じて、減価償却費として、経費計上されます。

また、先に支払いをした、前払いについては、原則、経費になりません。
例えば、12月決算の場合、1月以降に開催される研修会やセミナーの費用を12月に支払いをしても、今年度の経費にはならず、翌年度の経費になります。お金の動きと経費の計上には、ズレが生じます。
そのほか、2年分の保守料を支払ったというような場合も、保守料を月割り計算をして、今年度分に対応する部分が経費になります。
但し、例外も存在します。
例えば、小規模企業共済や倒産防止共済、保険料、リース料、家賃などを年払い(1年以内)をするような場合には、1年分が、経費(又は、所得控除)として認められます。

利益が出そうだからといって、不要なモノや経費にできない前払いをして、資金繰りが悪化してしまわないように注意しましょう。

https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5380.htm

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)

中小機構:中小企業倒産防止共済
http://www.smrj.go.jp/tkyosai/index.html

小規模企業共済と同様に節税対策として用いられるのが、中小企業倒産防止共済、倒産防です。
「中小企業」という名称がついているため、個人事業主は加入できないと思っていらっしゃる方もいますが、要件を満たせば個人事業者でも加入することが出来ます。

最大240万円、所得金額を節税出来るのが特徴ですが、本来の目的は、取引先が倒産し、売掛金等の回収が困難になった場合に貸付が受けられる共済制度です。
掛け金は、40ヶ月経過後に解約するのであれば、掛けた金額が100%戻ってきます。
小規模企業共済と違って、返戻金は、退職所得扱いという事になりませんので、解約時に利益として計上され、課税されることにはなります。
極端な話、利益が出ているときに40ヶ月以上積み立てて、所得が見込まれない年に解約することで、所得をうまく調整することが可能です。

また、臨時に事業資金が必要となった場合で、取引先の倒産等に該当しなくても、掛け金(解約手当金)の範囲内で、貸付を受けることが出来ます。
いざという時の積み立てを考えているのであれば、この制度で積立をしておくのも一つの選択肢になります。

このような節税制度も含め、事業年度が終わってからでは、節税対策、決算対策の施しようがありません。
今年もあとわずかです。個人事業主、暦年事業年度の法人については、仮決算、月次決算を組んで所得の試算をしてみてはいかがでしょうか。

所得拡大促進税制

経済産業省 税制改正要望
http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2017/index.html
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・現行税制
国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、適用対象年度の給与支給額や平均支給額などに基づく一定の要件を満たす場合には、税額控除が認められるというものです。
①基準事業年度の雇用者給与等以上を支給している。
②前事業年度の雇用者給与等以上を支給している。
③前事業年度の平均給与等支給額を上回っている。
基準事業年度からの増加額の10%が税額控除として法人税額から差し引きます。

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・税制改正要望
中小企業の税額控除割合を10%から20%に増額し、かつ、控除限度額を引き上げる。また、給与等支給額にプラスして、会社負担分の社会保険料を増加額に含めて計算する。
大企業については、変更なし。

所得拡大促進税制は、非常に集計が手間であり、集計誤りを起こす危険性が非常に高いので、慎重に処理する必要があります。正直、この制度が創設されたことにより工数が増え、厄介です。なぜ、このような面倒な仕組みにしたか理解に苦しみます。しかし、適用対象になると税額控除は、かなり大きいので、必ず判定・集計等はきっちりやらないと勿体ないです。
この制度は、中小企業だと控除限度額に引っかかってしまう事が多いので、限度額の増加は期待です。

中小企業投資促進税制 固定資産税の税額軽減

経済産業省 税制改正要望
http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2017/index.html
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・現行税制
中小企業投資促進税制は、機械装置等を取得等をした場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(資本金3,000万円以下法人が対象)が選択適用できるものです。生産性向上設備については、上乗せ措置があります。
①特別償却は即時償却(100%)。
②税額控除(7%)の対象を資本金1億円以下法人まで含める。
③税額控除(10%)資本金3,000万円以下法人は、3%上乗せ。
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更に、平成28年7月1日以降に取得した生産性向上設備について、固定資産税が3年間半額になる中小企業等経営強化法の固定資産税の特例があります。

上乗せ措置については、先端設備(A類型)に該当することを工業会等の証明書が発行されれば適用することが出来ます。
生産ライン等の改善に資する設備(B類型)については、設備購入前に事前に投資計画を作成し、経済産業省の確認を受け、承認をしてもらうことで適用できます。
中小企業のみならず、大企業においても生産性向上設備投資促進税制があります(特別償却割合が資産によって異なる。28年度以降は、税額控除の適用なし)。この生産性向上設備については、非常に使い勝手が良く、わかりやすい。特にA類型については、工業会やメーカーなどに問い合わせをし、確認をするだけで、手間がかからず適用できるので、多くの企業が利用した制度ではないでしょうか。
また、赤字企業にも恩恵が受けられる固定資産税の軽減措置の特例が始まりました。但し、こちらの適用については、工業会等の証明書のみでは要件は満たせず、経営力向上計画を策定し、大臣の認定を受ける必要があり、生産性向上設備のB類型に近い制度です。

・税制改正要望
平成29年3月31日で終了する生産性向上設備投資促進税制の上乗せ措置の延長をし、適用対象範囲に新たに器具備品及び建物付属設備を追加する。器具備品等を追加することにより、主に製造業が適用対象だった本制度を、サービス業や卸売業なども適用できるようにする。

対象設備の取得価額にハードルがあるものの、適用しやすい制度ですので、更なる拡充緩和は良い傾向です。出来れば、固定資産税の特例については、工業会等の証明書のみに留めてほしかった。