仮想通貨に係る消費税に関する整理

金融庁税制改正要望
http://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2017/request/fsa/index.htm
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・現行税制
国内において事業者が行った資産の譲渡等には、消費税を課税します。BTCなど暗号通貨がそもそも「国内」において行われているかどうかよくわかりません。国内取引の判定は、資産の譲渡・貸付と役務の提供(サービス)なのかによって変わります。今のところのBTCなどの暗号通貨の定義は、「価値記録」であり、通貨でも、物でもない、新たな分類ということで、資産の譲渡に該当するか役務の提供に該当するか。いずれにしても、資産の譲渡・貸付であれば、譲渡・貸付者の事務所等の所在地。役務の提供であれば、役務提供者の事務所等の所在地が国内にあるかどうかで判定されます。
国内において事業者が行った資産の譲渡等のうち、非課税取引として条文で定められている資産の譲渡等があります。つまり、非課税取引は限定で列挙されています。「価値記録」は、非課税取引に列挙されていないため、消費税が課税されます。

・税制改正要望
国会で仮想通貨法案が可決され、「価値記録」から「仮想通貨」として定義されていくことを受け、支払・決済手段としての機能を事実として有していることから、「仮想通貨」を非課税取引として規定するなど、消費税の課税関係を明確化する。

「仮想通貨」が非課税取引に該当することとなった場合、支払手段の譲渡(銀行券や小切手など)に含まれるのか、物品切手等の譲渡(プリペイドカード、電子マネーなど)に含まれるのでしょうか、それとも新設されるのでしょうか。同じ非課税取引ということに変わりはないのですが、事業者が消費税の確定申告を計算するにあたって、課税売上割合に影響が出てきます。
事業者は預かった消費税(売上など)から支払った消費税(仕入れなど)を差し引いて納付税額を計算しますが、預かった消費税から差し引くことが出来る支払った消費税は、実際に払った金額ではなく、一定の計算をします。その一定の計算に用いられるのが、課税売上割合です。
簡単な算式
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算式の分母の非課税売上が大きくなると、一部の事業者にとっては、計算が面倒になり、差し引くことが出来る消費税額が少なくなる(納付する税額が増える)可能性が出てきます。
ただし、「支払手段の譲渡」に該当する非課税取引については、非課税売上に該当しても、この計算式には含めなくても良いことになります。他にも、細かく含めない非課税取引があります。
「仮想通貨」が含めない非課税取引になるのかどうかも重要です。「仮想通貨」を頻繁に売買することによって、非課税の割合が増えてしまい、実態に合わない税額計算がされてしまう恐れがあります。株の譲渡などは頻繁に行われる非課税取引の1つですが、取引金額の5/100を課税売上割合の計算に含めるなどの取扱いがあります。同じ非課税でも細かい取扱いがどうなるのかも注目です。
消費税以外に、所得の計算についても具体的な取扱いを議論していただきたいところです。