取引相場のない株式の評価方式に関する見直し

経済産業省の税制改正要望
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経済産業省ウェブサイト
http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2017/index.html

・現行税制
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取引相場のない株式の評価計算は、非常に複雑です。取得する人、会社の規模などによって評価方式が異なります。主に、類似業種比準方式、純資産価額方式、配当還元方式があります。多くの中小企業の経営者が2代目に代わるときに相続、贈与の評価額について影響してきます。その時の評価方式として、類似業種比準方式又は純資産価額方式により相続税評価額が算出されることが大半です。この類似業種比準方式は、類似する業種の上場企業の株価や配当、利益、純資産を基に一定の比率を用いて計算します。
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この計算例では、株価の値のみを変えていますが、1株あたり相続税評価額が413,513円から510,789円に増加しています。会社の業績は変わっていないのに周りの市場や景気によって大きな影響を受けることになります。

・税制改正要望
具体的な計算方法などの見直しはなく、取引相場のない株式の評価方法について、中小企業等の実力を適切に反映した評価となるようにという要望。今までも要望はあっても改正に至らない、今回も要望は出しても評価額の計算は変わらないという予想です。中小企業の株式の相続、贈与に関しては、納税猶予の方で充実を図っていくという流れのままに感じます。
取引相場のない株式の問題点は、相続、贈与時に現金がない場合、多額の税額が発生し事業を継承しようにも株式を手放す必要が出てきてしまうこと。また、評価額が高いうえに非上場株式の買い手は不在で、税金を支払うことが出来ない状況に陥ってしまいます。仮に、非上場株式の評価額を大きく下げるような計算方式を導入してしまうと、会社を作って、会社に財産を入れて相続税を逃れる行動がとられてしまいます。現在の一般社団法人の設立などの問題と同様のことがおきてしまいます。真っ当に経営している企業が自分の会社の評価額に悩まされる結果になっている現状の評価方式については、早急に見直す必要がありますが、一方で、評価額を引き下げることの弊害も存在するところで、なかなか評価額そのもの見直すことは難しいのが現状ではないでしょうか。

現行税制では、類似の上場企業の株価などの自分の会社とは関係ないところで評価額に与える影響があるため、贈与などをしていく場合には、承継するタイミングを十分に検討する必要があります。もちろん評価額は類似業種による影響がすべてではなく、自分の会社も影響していきます。その時の評価を引き下げるポイントは、「配当金」「利益」「純資産価額」です。直近3年分くらいの業績を基に計算をしますので、長期的な計画で承継する時期を見ていくことが重要です。