研究開発税制

経済産業省 税制改正要望
http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2017/index.html
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・現行税制
A試験研究費の総額にかかる税額控除が本体部分で、B試験研究費の特別控除を含め恒久的な制度です。Cの増加型とDの高水準型の部分が上乗せ措置です。
試験研究費の税額控除の対象となる試験研究費の範囲は、製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明にかかる試験研究のために要する費用であり、工学的・自然科学的な研究を意味しています。したがって、人文・社会科学関係の研究費は含まれないことになります。例えば、事務能率の改善、販売方法の改良、販路の開拓などは、試験研究費の範囲に含まれません。
適用できる企業は、主として製造業になっています。

税額控除の計算、要件は複雑ですので、国税庁のタックスアンサー参照
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5442.htm
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・税制改正要望
試験研究費の範囲に、工学的・自然科学的な手法(データ収集や分析など)を用いたサービスの開発を新たに加えることによって、製造業だけでなく、サービス業や卸売業なども適用できるようにすること。
また、試験研究費の税額控除の控除額の見直しによる、高水準型制度の維持、控除率の割合を少額でも控除額をとれる仕組みにすること。

試験研究費の税額控除は、大企業に有利な制度になっています。
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税額控除の対象となる試験研究費とは、「製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明にかかる試験研究のために要する費用」で主に次に掲げるものです。
①原材料費
②人件費(専門的知識をもってその試験研究費の業務に専ら従事する者にかかるものに限る)
③その他経費
④委託研究費など
総務省統計データの通り、研究費のうち、人件費の占める割合は約4割です。人件費を税額控除の対象に含めることが出来る企業が非常に有利になります。税額控除の対象となるのは、研究に専ら(8割~9割程度)従事する者です。中小企業にとっては、研究開発部門単独という事はほぼ不可能で、大概は製造業務と兼業という形になってしまいます。もちろん、中小企業庁宛の通達において、兼業でも要件を満たせば試験研究費の税額控除の対象に含めることが明らかになっています。しかし、ハードルが高い印象があり、赤字になることも考え、消極的な中小企業も多く存在しています。利益が出ている製造業は適用しないと勿体ない制度です。
上乗せ部分の経過措置も、高水準型制度の方を残すという事で、過去と比べて試験研究費の額が上回れば上乗せがある増加型に比べ、平均売上の10%を超える試験研究費の額がないと適用できない高水準型というのは、中小企業にとっては、ハードルが高いです。
中小企業の控除割合は、大企業に比べて大きいとはいえ、中小企業により恩恵を受けやすい制度に進んでくれることを望みます。