役員給与等に係る税制の整備
経済産業省 税制改正要望
http://www.meti.go.jp/main/yosangaisan/fy2017/index.html
・現行税制
多くの中小企業で役員報酬の損金算入(税務上の経費として認められる)されるのは、①定期同額給与と②事前確定届出給与です。
①定期同額給与は、年度の始めから3ヶ月以内に支給額を決め、毎月同じ金額を支給しなければ、損金(経費)として認められないことになります。年度の途中で景気が良いから役員報酬を増額させるといった行為やちょっと業績が思わしくないから少し役員報酬を下げる行為などは、しても良いけど、損金(経費)としては認められません。変更できる場合としては、役員の地位が変わる、例えば、副社長から社長になるような場合などは、増額しても損金として認められます。そのほか、業績が「著しく悪化」した場合なども、役員報酬を減額しても損金として認められます。
②事前確定届出給与は、年度の始めからだいたい4ヶ月以内に支給日、支給金額を決めて、税務署に届出をすれば、定期同額給与じゃなくても損金として認められます。
③利益連動給与は、同族会社に該当しない法人を対象にしているので、比較的規模の大きい企業が適用できる制度です。
従って、多くの中小企業においては、年度の始めに役員報酬を決めなければならない状況です。
・税制改正要望
平成28年度も税制改正があり、主に上場企業が恩恵を受ける改正でした。今回の改正も平成28年度の税制改正にもあった株式報酬(リストリクテッド・ストックによる給与)や利益連動給与の算定の基礎となる指標の見直しの更なる改正であり、多くの中小企業には従来と変わらない不便な制度が継続されることになります。
役員報酬は、定期同額給与以外の報酬が全額損金不算入となることなどが問題になります。定期同額給与については、損金の額に算入できる範囲が限定的ですし、事前確定届出給与については、届出額と異なる金額を支給した場合にその全額が損金不算入になってしまいます。利益の恣意的な操作がされやすいという理由などが言われますが、実際に恣意的な操作という事であれば、役員報酬に限らず可能です。法人の所得を減らすことにより法人税を減らしても、役員報酬として所得税が課税されます。所得税は、所得が多くなればなるほど多くなる累進課税なので、ある一定の金額を超えると法人税と所得税の税率が逆転します。役員報酬の額を簡単に変更できれば、所得税や法人税を含め最も少なくなるように調整されてしまうことなんでしょうけど、もっと柔軟にしてほしいところです。税務調査で役員報酬扱い→定期同額給与満たさない→損金不算入の流れとかおかしいので、今の役員給与の制度の抜本的な見直しを期待したい。
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