消費税の仕入税額控除~税率引き上げ直前の再確認~
消費税の確定申告の概要 (原則)
消費税の確定申告の計算は、売り上げなどの収入係る消費税から仕入などの支出に係る消費税を控除した金額を国に納付することになります。
216円(税込)で商品を売り渡し場合の消費税等は16円(2019年9月30日まで)。
売り渡した商品の仕入れにかかった金額は、108円(税込)、この場合の消費税等は、8円。
売上にかかった消費税等16円から仕入にかかった消費税等8円を引いた差額、8円を国に納付することになります。
実際の計算はこれよりも複雑ですが…。
仕入税額控除と区分請求書等方式
2019年10月1日以降には、消費税等は10%に引き上げられ、かつ、軽減税率が導入されるため、消費税等が10%かかったのか、8%かかったのかを明らかにしておく必要があります。
今回、仕入税額控除、つまり、仕入などの支出に係る消費税等について、税率が異なるため、複数の税率が混同することになります。
したがって、領収書や請求書等を発行する事業者には、税率をはっきりと明記した書類を作成し、相手方に発行しておかなければ、例え、仕入に消費税等がかかっていたとしても、相手方の確定申告の時に売り上げなどの収入に係る消費税から控除することができなくなります。
領収書や請求書などに記載する、されるべき内容は、今までは、
・相手方の氏名又は名称
・取引年月日
・取引の内容
・発行者の氏名又は名称
でした。これに加えて
・軽減税率の対象品目であることを明らかにする、例えばこの品目は8%と記載する。
・8%と10%が混同している場合、税率ごとに区分した合計額
を追加で記載する必要ができてきます。
実務では、消費税の納税義務がない事業者も含め、上記内容にあった請求書等を発行する必要がありますし、会社で働く従業員の経費精算等の場においても、上記の記載がないような領収書をもらってこないように周知しなければなりません。
ただし、軽減税率とわかる記載がない、税率ごとに区分した合計額の記載がない場合においても、事実に基づいて追記することが可能です。
事業者同士でも混乱すると思いますが、従業員の方にも周知しておかないと経費精算等で社内トラブルになる可能性も注意が必要です。