消費税とデフレ~消費税率引き上げ直前の再確認~

 消費税の税率の引き上げまで残すところあと1ヶ月となりましたが、レジ補助金の申請期限も9/30から12/16に延長されることなるとの報道がありました。
 日本経済新聞:経産省、軽減税率レジの補助 増税後も対象に
  https://www.nikkei.com/article/DGXMZO49062900X20C19A8EE8000/

 まだ状況が変わるかもという願望もそろそろ捨てて、準備をしなければ、というところでしょうか。
 準備しろ、という一方で、やはり消費増税によるデフレの深刻化が懸念されます。
 過去の消費増税時の状況を考えれば、企業や消費者が消費・投資におカネを使うようには全く思えません。すなわち、デフレまっしぐらです。

 アベノミクスによる景気拡大は、戦後最長になり、前回のいざなみ景気を超えることになりそうですが、「景気」ってなんだろうと疑問に思う方は多いのではないでしょうか。私自身、社会人として働いている現在、いざなみ景気とアベノミクス景気を経験していますが、その恩恵を受けている感覚は全くありません。
 景気とは、経済活動の動向のこと。この辺はよくわかりませんが、景気が拡大しているかどうかの判断は、景気動向指数(一致指数)の 採用系列から作成したヒストリカルDIが50%を上回る直前の月が景気の谷、50%を下回る直前の月が景気の山に対応すると定義づけされています。
 採用されている一致指数は、
•生産指数(鉱工業)
•鉱工業用生産財出荷指数
•耐久消費税出荷指数
•所定外労働時間指数(調査産業計)
•投資出荷指数(除輸送機械)
•商業販売額(小売業X前年同月比)
•商業販売額(卸売業X前年同月比)
•営業利益(全産業)
•有効求人倍率(除学卒)

内閣府:景気動向指数研究会資料 資料2参考図表
https://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di_ken.html

 2012年11月が景気の谷で、それ以降、現在に至るまで拡大中とのことですが、2014年~2015年にかけてマイナスです。
 この主な原因は、消費増税、ほとんどの指数がマイナスになっているにも関わらず、景気拡大です。
 消費増税をしたときに景気拡大はしていないように見えます。この理屈はよくわかりません。

 税務調査の手法の一つに反面調査というものがあります。
 これは、調査対象の会社の記帳が正しいかどうか取引先等から取引が事実かどうかなどを確認します。
 一方が商品を引き渡し、売上を計上していれば、その引き渡しを受けた相手先では、仕入(若しくは経費)として計上されているはずです。
 主に架空の取引がないかどうかを調べるということになります。
 ここからもわかる通り、誰かの支出は誰かの収入(所得)になります。
 これが、消費増税されることにより、単純に2%分誰かの収入(所得)が減ることになると考えられます。つまり、みんなの所得が2%減ると考えた場合、消費に使うおカネが減る。そうすると誰かの収入(所得)が減る。支出が増えなければ、所得が増えません。
 その2%分を国が消費・投資をすれば良いのですが…。

 過去の景気拡大として有名なのが、神武景気、岩戸景気、いざなぎ景気。
 投資が投資を呼び、工場の設備投資の機械、その機械を製造するための機械、資本を投じることにより生産性が向上し、給料が増えるという好循環があり、また、政府も建設国債を発行し、財政出動によるインフラ整備の拡充を行ったことなどにより、景気拡大を実感できたそうな。支出が増えれば、所得が増える。

 おカネを消費・投資に回さなければ、本当の景気拡大にはならないんじゃないのかなと思うのですが、消費増税により、さらに消費・投資を減らす行為は、消費者だけでなく、企業側も増税後の不透明感から投資を抑制する方向に働くようになる気がします。
 今好調だから設備投資しようと考えている企業に関しては、消費増税が与える影響というのをよくよく検討したうえで、投資を行ってもらいたいと感じます。

 消費税増税後、自助努力によって消費・投資を増やすことは、消費者、企業いずれも難しく思えます。なので、政府が支援するというのはもちろんですが、政府自身もインフラ設備への投資等をして支出を増やしてもらいたいと思います。その支出は、誰かの収入(所得)になるのですから。(投資した後に無駄になるインフラならいらないけど、災害対策とかに使ってほしいものです)