家内労働者等
給与を受け取った場合(給与所得)には、給与(収入)から給与所得控除という概算経費を最低65万円、マイナスすることが出来ました。
一方、個人事業主など事業所得や雑所得に該当する場合には、売上(収入)から経費(実際に売上を上げるためにかかった必要経費)をマイナスすることが出来ます。しかし、事業所得や雑所得に該当する場合でも、経費があまりかからない内職などがあります。給与所得なら概算経費で65万円引けるのに経費のあまりかからない内職などをした場合との間で不公平になってしまいます。そこで、家内労働者等に該当する場合には、実際にかかった経費が65万円に満たないときは、65万円に足りない部分を概算経費として計上することができる特例があります。事業所得や雑所得を有する人がすべてがこの特例を受けることはできません。「家内労働者等」に該当する方は、この特例を受けることが出来ます。「家内労働者等」に該当すれば、給与103万円の壁と一緒の考え方になります。
「家内労働者等」とは、家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人のほか、特定の人に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人をいいます。
ポイントは、「特定の人」、「継続的に」、「人的役務の提供」です。
「特定の人に」というのは、特定されていれば複数の人が相手でも良いということです。しかし、「不特定多数の人」にサービスを提供する場合には認められません。
「継続的に」は、これは儲け(所得)を得るために継続的に活動しているということです。
「人的役務の提供」は、サービスを提供すること。サービス業、無形財の販売業などです。
どんな職業が該当するのか条文を読む限りでは非常にわかりづらいですし、「外交員」という名称に当てはまる場合であったとしても、個々の実態に応じて判断することになります。「家内労働者等」に該当するかどうかで、負担する税金も結構変わってきますので、ちゃんと検討しましょう。
租税特別措置法27条 家内労働者等の事算所得等の所得計算の特例
家内労働法(昭和四十五年法律第六十号)第二条第二項に規定する家内労働者に該当する個人、外交員その他これらに類する者として政令で定める個人が事業所得又は雑所得を有する場合において、その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額及び雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額の合計額が六十五万円(当該個人が給与所得を有する場合にあつては、六十五万円から所得税法第二十八条第二項に規定する給与所得控除額を控除した残額。以下この条において同じ。)に満たないときは、その年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入する金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、所得税法第三十七条第一項及び第二編第二章第二節第四款第一目から第五目までの規定にかかわらず、六十五万円を政令で定めるところにより事業所得に係る金額と雑所得に係る金額とに区分した場合の当該区分したそれぞれの金額とする。この場合において、当該それぞれの金額は、その年分の事業所得に係る総収入金額又は雑所得に係る総収入金額(同法第三十五条第三項に規定する公的年金等に係るものを除く。)を限度とする。
家内労働法第二条二項
この法律で「家内労働者」とは、物品の製造、加工等若しくは販売又はこれらの請負を業とする者その他これらの行為に類似する行為を業とする者であつて厚生労働省令で定めるものから、主として労働の対償を得るために、その業務の目的物たる物品(物品の半製品、部品、附属品又は原材料を含む。)について委託を受けて、物品の製造又は加工等に従事する者であつて、その業務について同居の親族以外の者を使用しないことを常態とするものをいう。