事件は帳簿で起きている【書籍】
粉飾決算、データ改ざん、食品偽装、異物混入、虚偽報告、ブラック企業など会社の不祥事がニュースになります。そんな、最近、起こった事例を中心に公認会計士の視点から書かれています。複式簿記や会計基準など複雑なイメージを持たずに不祥事の経営内容を見ていく・・・、と言っても、やはり財務諸表の最低限の基礎知識の説明からスタートし、前半は、粉飾決算企業。後半は、食品偽装やブラック企業などが財務諸表に与える影響を絡めつつ、不祥事が起きた後の経営判断などの解説です。
粉飾決算の代表例
①P/Lの売り上げの過大計上による、B/Sの売掛金残高の増加。
②P/Lの売上原価の過少計上による、B/Sの在庫の増加。
いずれも、B/SやP/Lの推移を見れば把握できることは、もちろんですが、この本では、CF(キャッシュフロー)計算書、つまり、お金が増えたか減ったかを示した表の重要性を説明しています。売掛金や在庫は架空計上しやすいですが、預貯金の残高は、まず、改ざんが難しいので、結果、不都合なことはCF計算書に表れてきます。
前半の粉飾決算の事例も、後半の事例も、財務諸表の数値はポイントだけを押さえての内容なので、ほとんど会計の知識がなくても最後まで読める内容ではないでしょうか。
人間を犠牲者にするような会社の行動は、「天を仰いで唾する」というもので、結局は、その会社をも滅ぼすような行為でしかないということがよくわかります。