NEM:XEM:Symbol:XYM(シンボル) 事前オプトインと事後オプトインについて考える
ようやく、NEMwalletからオプトインの申請を終わらせました。申請手続き自体は、オプトインの方法を書いた記事を参考にすれば、簡単にできました。
このオプトインによって、XYMが付与されることになるのですが、やり方によって、税務上の取扱いが変わるような内容を見かけたりするので、この件について考えてみようと思います。
結論から言うと、自分でオプトインして付与される場合には、事前オプトイン、事後オプトインに関わらず、受け取った時点では、取得価額0となり、所得は発生しないと考えます。
受け取った時点で、暗号資産については課税というように説明しているので、事後オプトインの場合については、受け取った時点においては、市場が存在し、価格が付いているということになるので、その時点で課税されるという認識が出ているかと思います。
この考え方に基づけば、事前オプトインをしておかないと、事後オプトインの時には課税されるので、事前オプトインをしておいた方が、比較的、税務上有利にできるということになります。(あくまで税務上の話で、価格、もうけ云々については、わからんけども)
この受け取った時点で課税というのは、どういう条文がもとになっているかというと、所得税法36条の収入金額というところが根拠条文になっています。
この条文では、金銭以外の物、権利その他経済的な利益をもって収入する場合とあります。
おカネ(日本円)以外であったとしても、価値があるものを手に入れたら、その年(とき)に収入金額として計上してください、ということになっています。
なので、暗号資産であっても自分の手元に届いた段階で、それを自由に売却などできる権利を有しているのであれば、受け取った時に収入金額として計上するということになります。
続いて、時期については、「その年において収入すべき金額」とありますが、わかりづらいことになっています。
この収入時期について、商売に置き換えて考えてみると国税庁のタックスアンサーNo.2200で解説がされています。
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その年において収入すべき金額は、年末までに現実に金銭等を受領していなくとも、「収入すべき権利の確定した金額」になります。したがって、実際に金銭等を受領したか否か、また、代金を請求したか否かは関係がありません。
例えば、その年の12月20日に商品を売って、その代金は年を越して翌年1月10日に受け取ったような場合には、商品を売ったその年の収入になるということです。
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収入に計上すべき時期は、実際の金銭等の受領や代金の請求をしたかどうかではなく、「収入すべき権利の確定したとき」に決まるということです。
所得税法36条において、所得計算のうえで収入金額は、収入すべきことが法的に確定している時に計上するものと解されており、これが「権利確定主義」と呼ばれています。この条文を基に所得の区分ごとに権利確定時期を通達により定めています。(通達に暗号資産の収入時期について、現状、定められていないので、他の所得の収入時期に準じて考えることになります。)
今回のオプトイン。
①オプトインの申請する権利は、既に与えられている。6年以内に申請しなければ権利を失う。
②スナップショット、指定ブロックの残高は、12/3~12/16?を通過すると変更できない。
現在、既に権利を持っているが、まだ、受け取る数量(金額)が確定していない。
今後、②を通過することによって、収入すべき権利の確定がすると解釈することができるのではないか、と考えたとき、自分でオプトインを実行する場合、①と②の2つの要件が確定した段階で、「その年において収入すべき金額」となる。
事前オプトインだろうが事後オプトインだろうが、権利確定されるのは、②が確定したときであり、市場がなく、市場価格もないので、取得価額0、所得0になると考えられます。
このような権利義務の観点で考えれば、取引所の場合、取引所とユーザーの権利義務が発生した段階、すなわち、取引所が付与すると決定した段階となります。XYMを付与するかどうかの選択権は、取引所にあり、ユーザーにはないので、自分でオプトインする場合とでは、所得の計算にズレが生じる可能性があります。
事後オプトインについては、取得価額0の方が良いのか、受け取った時点で課税対象になった方が良いのかは別の問題ですが、同一の経済効果には、同一の課税関係を適用するのが税の理屈ではあるので、事前と事後でズレちゃうのも、どうなのかと考えます。
取得価額0なら、所得税法通達48の2-4を使えば多少は…ね…。
所得税法36条 収入金額
第三十六条 その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
(雑所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期)通達36-14
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/01.htm#a-01
36-14 雑所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期は、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に掲げる日によるものとする。(昭63直法6-1、直所3-1、平14課個2-22、課資3-5、課法8-10、課審3-197改正)
(1) 法第35条第3項《雑所得》に規定する公的年金等
イ 公的年金等の支給の基礎となる法令、契約、規程又は規約(以下この(1)において「法令等」という。)により定められた支給日
ロ 法令等の改正、改訂が既往にさかのぼって実施されたため既往の期間に対応して支払われる新旧公的年金等の差額で、その支給日が定められているものについてはその支給日、その日が定められていないものについてはその改正、改訂の効力が生じた日
(注) 裁定、改定等の遅延、誤びゅう等により既往にさかのぼって支払われる公的年金等については、法令等により定められた当該公的年金等の計算の対象とされた期間に係る各々の支給日によることに留意する。
(2) (1)以外のもの
その収入の態様に応じ、他の所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期の取扱いに準じて判定した日
(暗号資産の取得価額)通達48の2-4
48の2-4 暗号資産を売買した場合における事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、法第37条第1項及び第48条の2の規定に基づいて計算した金額となるのであるが、暗号資産の売買による収入金額の100分の5に相当する金額を暗号資産の取得価額として事業所得の金額又は雑所得の金額を計算しているときは、これを認めて差し支えないものとする。(令元課個2-22、課法11-3、課審5-12追加、令2課個2-12、課法11-3、課審5-6改正)
国税庁タックスアンサーNo.2200 収入金額とその計算(事業収入)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2200.htm
その年において収入すべき金額は、年末までに現実に金銭等を受領していなくとも、「収入すべき権利の確定した金額」になります。したがって、実際に金銭等を受領したか否か、また、代金を請求したか否かは関係がありません。
例えば、その年の12月20日に商品を売って、その代金は年を越して翌年1月10日に受け取ったような場合には、商品を売ったその年の収入になるということです。