領収書と現金

会社役員兼務する芸人、厚切りジェイソン氏の発言。

「手書きの領収書、アレは何ですか?
アメリカじゃ、機械で明細を打ち出したものじゃないと絶対に認められませんよ。日本だと逆で、100円ショップで売っている領収書の紙に「御品代3万円」って・・・それって、かえって偽造しやすいでしょ!」

おっしゃる通りですね。いくら金額の前に「¥」マークや金額の後ろに「-」を引こうが、やろうと思えば書き足すことも可能ですし、ほかにも色々出来てしまいます。しかし、日本では、領収書は手書きであろうと証憑資料の証拠価値は高いです。
納税者は、自ら税金を計算、申告書を作成し提出、納付します(申告納税方式)。納税者自らが作成した資料よりも、相手方が発行したものは、その内容を証明するために有効な書類として扱われます。
では、納税者自らが作成した証憑資料は、一切認められないのか、というと決してそんなことはありません。

領収書は、「支払ったこと」を証明するためのものです。
ですから、それに代わるものが用意できれば、証憑資料、経費として扱うことが出来ます。

要件は、4つ。
①日付
②金額
③相手方の名称
④取引の内容
(⑤領収書がもらえなった場合の理由)

領収書に代わる証憑資料。
1.レシート(領収書よりも優秀)
2.銀行の振込明細や取引明細
3.クレジットカード明細
4.請求書
5.納品書、受領書
6.注文書
7.メール、画面コピー
8.支払証明書(自分で作成した書類)など

単独で①~④の要件をすべて満たすことが出来ない場合。例えば、2.銀行の振込明細と4.請求書と合わせて、要件4つを満たすことになります。
8.自分で作成した書類で良いのであれば、何でも良いということになりますが、
領収書、レシート→銀行、クレジットの取引明細→請求書→納品書、注文書→メール→支払証明書
領収書から始まり、自分で作成する書類になるほど、証拠価値は低くなる=経費として認められない可能性が高くなります。

現金で取引をして、現金管理をまともにやっていなくて、現金残高がおかしな金額。なおかつ、自分で作成した書類で多くの経費を計上している。利益操作や脱税をしているんじゃないのかと思われてしまいます。
相手方が発行する証憑書類などは、無くさずにしっかりと保存しておくべきです。
それでも、どうしようもないことはあります。納税者自身が作成した書類などの証拠価値を高めるには、現金残高を合わせることです。

現金残高を合わせるメリットは、
・経費の計上漏れを防ぐ。
・従業員の横領などの牽制。手癖の悪い人がもしかしたら…。
・支払証明書など、相手先から領収書等の「支払ったこと」を証明出来ないときの証拠価値を高めるため
・青色申告(個人65万円控除)

現金残高をきっちり合わせているところは、税務調査のときかなり心証が良くなります。特に現金出入りの激しい飲食店など。

領収書のことを税の引換券と言っていた方がいらっしゃいました。
10,000円の経費を計上すれば、単純計算で、所得税(5%)と住民税(10%)の合計、1,500円が還ってくることになります。
領収書を無くしてしまったから経費にしないでは、もったいないです。領収書だけが証憑資料ではありません。きちんと書類を残して、節税しましょう。