クラウドマイニング【仮想通貨】
暗号通貨界で、今年もっとも期待される仮想通貨「Zcash」の10/28にローンチされ、市場に出回るようになりました。
日本でも、Coincheckなどで取扱いがスタートしています。
何がすごいのか。
coincheckのブログ:ブロックチェーン技術を活用し、不正利用ユーザー逮捕を支援
https://coincheck.com/blog/2679
このブログの中にある通り、「全世界のビットコイン取引履歴を全て追跡できるブロックチェーン技術を活用」とあるように、ビットコインは、取引履歴を誰でも見ることが出来ます。ビットコインの透明性が高いことにより、今回のような結果につながったようです。すごい。
一方で、日本経済新聞11/4:ビットコイン詐取容疑で3人逮捕 警視庁 取引所被害で初
http://www.nikkei.com/article/DGKKASDG03H1W_T01C16A1CC1000/
見出しで、印象が変わりますね。
「取引履歴」が今回、1つのポイントになったと思うのですが、新たな仮想通貨「Zcash(ZEC)」は、その取引を追跡できない完璧なプライバシー保護を可能とする仮想通貨が登場してしまったという事です。このほかにも「Dash(DASH)」や「Monero(XMR)」などがあります。詳しくは、私も?マークがたくさん出現するので、優秀なgoogle先生に答えてもらえればと思います。
そんな中で、話題になっているのがZcashのクラウドマイニングです。最近の仮想通貨は、ICOで投資を募る形で発行し、その後、市場に出回るそうなのですが、今回のZcashは、完全にマイニングによって得られる状況のため、クラウドマイニングという形で、Zcashを手に入れようという動きが強くなっています。
bitFlyer用語集:クラウドマイニング
https://bitflyer.jp/ja/glossary/cloud_mining
このクラウドマイニング。調べていくと、どうやら非常に詐欺(Scam)が多く、また、詐欺じゃなかったとしても・・・らしいところも多いようです。十分、リスクを考えて、やるのかどうか。
ここからが、所得税の話。
クラウドマイニングという形で新たな収入を得られることになった訳ですが、所得税は、儲け(所得)が出たら、確定申告です。
クラウドマイニングによって得られた報酬(収入)-投資した金額(経費)=儲け(所得)
収入の計上時期や計上金額については、以前、ちらっと書いた覚えがあるので、ざっくりと。マイニングされた時点の市場価格が収入というのが原則的な考えです。但し、Zcashのように、今はまだ、市場に出回る量が少なく、常に売買できるような状況であるかどうかが難しいため、売却時に収入と捉えることも検討される事項です。(一時:1ZEC当たり3,300BTC=2億超??だったらしい。)
投資した金額(経費)に計上される金額についてです。
マイニング会社によって、変わってくる事項でありますが、1年契約、2年契約といった形から、無期契約といったものまであるようです(詐欺かどうかはわかりません)。また、契約形態によっては、有形、無形固定資産に該当するのか繰延資産に該当するのかという所です。
1年契約であれば、マイニングが開始された時点に、一括で経費計上することができます。
2年契約であれば、所得税の申告は、暦年(1/1~12/31)計算します。従って、支払った金額を期間按分する必要があります。2年契約でH28.10.28からスタートした場合、10月、11月、12月の3ヶ月分が、H28年度の確定申告時の経費になります。
無期契約であれば、恐らくほとんどは、繰延資産のうち、役務の提供を受けるために支出する権利金等に該当するのではないかと考えられます。その場合、按分期間は、5年になります。但し、金額が20万円未満であれば、一括経費計上することができます。
さて、「詐欺」に該当した場合についてです。不幸にも、「詐欺」に投資してしまった場合、これは、もちろん、自己責任です。
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1110.htm
災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを雑損控除といいます。
儲け(所得)から雑損控除を差し引くことによって、納税する税金が少なくなります。
この損害の範囲というのが、
(1) 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
(2) 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
(3) 害虫などの生物による異常な災害
(4) 盗難
(5) 横領
となり、詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。
典型的な例としては、オレオレ詐欺や振り込め詐欺です。
そもそも、雑損控除の対象となる資産は、棚卸資産若しくは事業用固定資産等又は「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない資産であること。なので、事業用固定資産等に該当する前提であれば対象になりません。仮に、雑損控除の対象となる資産であったとしても、詐欺なら認められません。
困ったことになるのは、詐欺、詐欺じゃないに関わらず、マイニング会社がペケってしまった場合の損失を翌年に繰り越せないということです。
雑損控除に該当するのであれば、給与所得があれば、その所得からも控除することができますし、損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。
また、クラウドマイニングは、「雑所得」で計算されると考えられ、他の給与所得などからマイナスすることも出来ず、繰り越すことも出来ません。僅かな可能性としては、クラウドマイニングを「事業所得」に該当するとすれば、他の給与所得などからマイナスすることができ(白色、青色問わず)、なおかつ、青色申告をすれば、3年間繰越することが出来ますが、現実問題、ほぼ無理だと思います。
基本、儲け(所得)が出る前提でやる訳ですから、ペケった話はどうでも良いのかも知れませんが、税金から見ても踏んだり蹴ったりな状態のになりますので、ご注意ください。
なんにしても、coincheckの内容すごいなぁ、Zcashでやられたら、まずいかもだけど、すごいなぁと、驚く出来事ばかりです。・・・はよ、国税庁、取扱いだしてください。
所得税法2条①
二十 繰延資産 不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に関し個人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもので政令で定めるものをいう。
所得税法施行令
(繰延資産の範囲)
第七条 法第二条第一項第二十号 (繰延資産の意義)に規定する政令で定める費用は、個人が支出する費用(資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く。)のうち次に掲げるものとする。
一 開業費(不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用をいう。)
二 開発費(新たな技術若しくは新たな経営組織の採用、資源の開発又は市場の開拓のために特別に支出する費用をいう。)
三 前二号に掲げるもののほか、次に掲げる費用で支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもの
イ 自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
ロ 資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立ちのき料その他の費用
ハ 役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用
ニ 製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用
ホ イからニまでに掲げる費用のほか、自己が便益を受けるために支出する費用
2 前項に規定する前払費用とは、個人が一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出する費用のうち、その支出する日の属する年の十二月三十一日(年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時)においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。
(繰延資産の償却費の計算)
第百三十七条 法第五十条第一項 (繰延資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、次の各号に掲げる繰延資産の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 第七条第一項第一号又は第二号(繰延資産の範囲)に掲げる繰延資産 その繰延資産の額を六十で除し、これにその年において不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務を行つていた期間の月数(その年がその繰延資産となる費用を支出した日の属する年である場合には、同日から当該業務を行つていた期間の末日までの期間の月数)を乗じて計算した金額(当該計算した金額が、その繰延資産の額のうち既にこの項の規定により不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入された金額以外の金額を超える場合には、当該金額。次号において同じ。)
二 第七条第一項第三号に掲げる繰延資産 その繰延資産の額をその繰延資産となる費用の支出の効果の及ぶ期間の月数で除し、これに前号に規定する業務を行つていた期間の月数を乗じて計算した金額
2 前項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。
3 居住者が、第一項第一号に掲げる繰延資産につきその年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額として、当該繰延資産の額の範囲内の金額をその年分の確定申告書に記載した場合には、同号に掲げる金額は、同号の規定にかかわらず、当該金額として記載された金額とする。
(繰延資産となる費用のうち少額のものの必要経費算入)
第百三十九条の二 居住者が支出する第七条第一項第三号(繰延資産の範囲)に掲げる費用のうちその支出する金額が二十万円未満であるものについては、前款(繰延資産の償却)の規定にかかわらず、その支出する金額に相当する金額を、その者のその支出する日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する。