国外転出時課税(上場株式)

平成27年7月1日から、国外転出(国内に住所を有しない)をする時に、1億円以上の有価証券等を所有等している場合は、所得税の確定申告等の手続きが必要なりました。

上場株式を譲渡した場合は、申告分離課税で税金が計算され、売却益に対して所得税及び復興特別所得税(15.315%)と住民税(5%)の税率で課税されます。特定口座(源泉徴収口座)を選択した場合は、勝手に計算、徴収してくれるため、確定申告をする必要がありません。源泉徴収なしの口座等を選択した場合は、所得税を計算して確定申告をする必要があります。
売却をせず、含み益(いま売ったら発生するであろう売却益)の状態であれば、税金は発生しません。

今後は、国外転出時に、有価証券等の譲渡等があったものとみなして、含み益に課税されることになります。上場株式は、売却した時と同様に上記の税率を用いて課税されることになります。しかし、国外転出時までに一定の要件を満たせば、納税猶予することも可能です。

この国外転出時課税制度は、所得税が課税され、所得税について納税猶予をすることができます。
住民税については、特に触れていません。
住民税は、課税されるのか?納税猶予の適用はあるのでしょうか?

所得税は、居住者・非居住者問わず、日本国内において生じた所得(売却益)については、所得税が課税されます。
1月1日~12月31日の所得を計算して、翌年3月15日までに申告・納付をします。
住民税は、1月1日時点で市区町村に住所がある人に住民税が課税されます。
住民税の申告は、所得税で計算した金額を基に計算されるため、所得税の申告書を提出すれば、住民税の申告は不要です。
住民税の納付は、翌年の6月から自分で納付するか、給料から天引きされます。

すなわち、国外転出してしまえば、住民税の賦課期日(課税するか判定する日)1月1日に住所がないので、住民税(5%)は、課税されないことになります。
住民税がないということは、もちろん納税猶予も必要がないということです。
不安だったので、市の税務課・税務署に確認したところ、やはり住民税はかからないということでした。

場合によっては、住民税5%払わなくて済むのでお得かもですね。

国税庁HP国外転出時課税制度
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/denshi-sonota/kokugai/01.htm

海外転勤中の株式等の譲渡も住民税はかからないということになります。転勤先での課税関係もあるので要注意です。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1936.htm