仮想通貨に係る課税関係の見直し【税制改正大綱:消費税】

平成29年度税制改正大綱が、昨日、12/8に公表されました。

これから、税制改正大綱を読み、税制改正の内容を把握していきます。

その第一弾として、やはり、私が気になるのが、仮想通貨に係る課税関係という所です。

・消費税は非課税
資金決済法に規定する仮想通貨(ビットコインなど)について、消費税法上、支払手段として、非課税の取扱いになります。

・時期:平成29年7月1日以降
現在、仮想通貨(ビットコインなど)については、モノ扱いであり、消費税が課税されている状態です。
これが、平成29年7月1日以後に行われる売買等に関して、非課税扱いになります。

・時限措置:平成29年6月1日~6月30日で増加分の仮想通貨は、非課税扱い。
事業者が100万円以上大量に保有している場合には、平成29年6月1日~6月30日までの間に増加した分については、消費税が含まれていても、前払い消費税として、預り消費税からマイナスすることができないという事にしています。

この切り替わりで、懸念されるのが、今現在、ビットコインの購入は、平成29年6月30日までは、消費税の計算上、課税資産の譲渡等にのみ要する課税仕入れに該当する事になります。

消費税の計算は、ざっくりと考えると
事業者は、商品の売り上げたときに売上金額と一緒に消費者から消費税を預かります(預り消費税)。
逆に、事業者は、消費者ではないので、商品を仕入れたときには、仕入代金と一緒に別の事業者などに消費税を支払います(前払い消費税)。

預り消費税-前払い消費税=納税額

という事になります。

ビットコインの「購入」だけをした場合、どうなるでしょうか?

事業者は、ビットコインを購入するときに、購入代金と一緒に消費税を支払います(前払い消費税)。百万円分の消費税を支払ったことにします(5/31以前に購入)。

売却はしていません。

預り消費税0-前払い消費税 百万円=△百万円

税務署から百万円の消費税の「還付」になります。

現在、日本国内にある取引所。6/30⇒7/1の時点で、取引所の価額が消費税分だけ、下落するのか?という疑問が起きます。
取引所では、おそらく多くの個人が中心となって、売買をしていると考えられますが、個人は、「事業者」ではないので、「消費税」という意識はありません。
この付近の相場が、どう動くのか、ものすごく気になります。
もし、価額が変わらないとするならば、「還付」を受ける事業者は、有利に見えます。ビットコインなど仮想通貨を数か月間を保有することは、ボラティリティが大きいので、会社としては、難しいかもしれませんが。