必要経費 仮想通貨PoS SN
必要経費とは、所得税法37条に記載されています。
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第三十七条 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
2 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
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所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、
(1) 総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2) その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)
です。
そもそもとして、会計(簿記)は、貸借対照表=資産や負債などが、なぜ増えたのか減ったのかを記録するためと言われています。
その財産が増えたか減ったかの差額を損益として捉え、利益又は損失として損益計算書が存在します。
端的に言えば、財産が増えたら利益、財産が減ったら損失ということになります。
そのなぜ増えたかを収入、なぜ減ったかを費用という言葉を使って説明していることになります。
財産が増えた、減ったという差額の説明に収入や費用という言葉が使われているということです。
つまり、資産が減らなければ費用ではないということです(もちろん、例外は存在します)。
さて、再び必要経費というところに話を戻します。
必要経費は、費用よりも更に限定された概念になります。
資産が減ったという費用のうち、税務上の費用として認められるものが必要経費です。
・総収入金額に対応する売上原価
総収入金額は資産が増えた説明です。
売上原価はその資産が増えた代わりに資産が出ていった説明です。
例えば、Aから商品を仕入れて、Bに商品を売却し現金を受け取った場合。
Aから商品を仕入れたときは、現金という資産が商品に変わっただけなので、資産の増減はありません。なので、費用は発生しません。
Bに商品を売却し現金を受け取ったときには、商品がBに譲渡され資産が減る=費用=売上原価となり、代わりに現金を受け取ったので資産が増える=収入=総収入金額となります。
・その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
これも資産が減った説明です。
例えば、商品を仕入れるためにCに支払った運賃です。
商品を運んでもらうために現金という資産が減った説明です。Aから商品を引き取ってこなければBに商品を売ることが出来ないため、現金という資産が減る=費用=直接要した費用の額となります。
・その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
これについても直接的ではなく、収入を得るために間接的に資産が減る=費用となります。
資産が減るにしても業務(収入)に関わらず減る資産(費用)については、必要経費にはなりません。
本題。PoSやSN建てるための仮想通貨の購入が必要経費にならないのか。
上記の通り、資産が減っている訳じゃないから、費用にはならない=必要経費にならない。
現金という資産が減り、仮想通貨という資産が増える。含み益、含み損という概念は存在するが、仮想通貨を購入することによって資産が減っている訳ではありません。
収入を得るために支出したと言っても、資産は減っていないので、費用ではありません。
なので、おカネの貸し借りなんかもそうです。
おカネを貸した人は、現金という資産が減りますが、借りた相手から資産を返してもらう権利が存在するので、現金という資産が増えて、おカネを返してもらう権利(貸付金という)、資産が増える=資産は減っていない=費用ではありません。
では、マイニングPCは、なぜ必要経費になるのか。
現金という資産が減り、PCという資産が増えるので、費用にはならない=必要経費になりません。
しかし、PCという資産は、時の経過などにより価値が減っていきます。
現金という資産がPCに変わることによって、PCを使うことにより価値が減少していく=資産が減る=費用=必要経費となります。
但し、使ったPCの価値を測定することが困難であるため、一定の法則によって資産が減ったとして費用(必要経費)になっていきます。これが減価償却と呼ばれるものです。
じゃぁ、事務用品や消耗品も資産じゃないのか?となります。その通りです。
現金という資産が減り、事務用品という資産が増えます。
しかし、そんなことをやっていては大変だということで、日常的に消費、費消されていくのであれば、購入した段階において、資産が減った=費用として、扱おうという流れです。これは、例外的な処理として認められています。
やがて消費、費消するモノであれば、マイニングPCと言えど、10万円未満であれば減価償却をせずに購入した段階において費用として認めていることになります。
切手や収入印紙などの金銭等価物については、使わなければほぼおカネと同等に交換できるモノであるため、資産として計上することになります。
仮想通貨は、価格(価値)の変動が激しいですが、時の経過等により消耗、費消されていく訳ではありません。そういう概念の仮想通貨が出てくれば別ですが。
実際の会計はもっと色々な法則(原則)がありますので、一部を例にとった内容です。
結局、素人にわかるように言えるほど、私は、費用という概念を理解していなかったようですし、説明できずにいます。
収入とは何か、費用とは何か。難しいです。
仮想通貨の税金まわりについて、色々書いてきましたけど、なんか、もういいかな。