【電子帳簿保存法】2022年1月1日から電子取引の保存が面倒

国税庁:電子帳簿保存法が改正されました
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021005-038.pdf

国税庁:電子帳簿保存法一問一答「電子取引関係」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_03.pdf

 電子帳簿保存法が改正されました。令和4年1月1日施行です。
 ・電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係(仕訳帳や総勘定元帳などの電子帳簿)
 ・スキャナ保存関係(紙の領収書などのPDF等データ保存)
 この2つは、事前承認申請が不要になるなど、大きく改正された部分ですが、これまで通りの対応でも何ら問題がありません。
 しかし、
 ・電子取引関係(PDFなどデータで請求書、領収書等を受領、例えば、Amazonの買い物の領収書)
 この件に関しては、これまで通りという訳にはいかず、面倒なことになりました。
 今まで、PDFなどデータで受け取っていた請求書、領収書の保存方法は、印刷して紙で保存をしておくことが可能でした。PDFなどを印刷しない場合の電子取引の保存要件を満たすのが困難なため、データで受け取っても印刷して紙で保存をしている事業者がほとんどでした。
 しかし、データで受け取った書類を紙で印刷して保存することが令和4年1月1日からできなくなります。すなわち、電子取引に関するデータについて、保存要件を満たさなくてはならなくなりました。
 令和3年7月にQ&Aが公開されましたが、やはり、紙保存は不可のようです。
 電子取引の保存要件ですが、真実性の要件と可視性の要件の2つを満たす必要があります。

 
 ※国税庁:電子帳簿保存法が改正されました パンフレットより

 真実性の要件ですが、①~④のどれか1つ満たす必要があります。
 一番楽なのは、①の取引先にタイムスタンプを付与してもらったデータを受け取ることですが、AmazonなどEC業者や取引先が対応してくれるとは限りません。
 となると、自分で②タイムスタンプを付与することになります。タイムスタンプを付与するソフトウェアを導入する、クラウド会計ソフトのオプションで付けるなどの方法が考えられますが、コストが発生します。③についても②と同様、ソフトウェアでの対応ですね。
 あとは、④です。電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程の参考が、国税庁HPにあるので、自社に合わせる。規程に沿った運用を構築できれば目に見えるコストはかかりません。
 https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/07denshi/02.htm#a019
 これで半分です。
 次が、可視性の要件です。3つほどありますが、問題は検索機能です。
 ・取引年月日、取引金額、取引先により検索できること。
 これをどうやって満たすか結構頭を悩ませます。ダウンロードできるようにしておき、ファイル名に取引年月日、取引金額、取引先にすれば、要件は満たせそうにも思うのですが、なかなか難度が高そうです。
 スマホでAmazonでお買い物するくらいの課税事業者が、保存要件を満たせるとは思えず、実務的にも不安が付きまといます。
 ペーパーレス化の流れはきていましたが、この件に関しては、ちょっと無理があるんじゃと思ってしまいます。いやーきびしい。