仮想通貨の税金の質問⑥
Q.
マイニングで報酬を得た時点で雑所得になるのが原則という話がありましたが、例えばごく一部のかなり板が薄い取引所で1枚=1兆円で取引されているERC20トークンを1枚特定のETHアドレスにエアドロップした場合、受け取った側の時価の算定はいくらになるのでしょうか?このような場合も1兆円が受け取った時点で所得になるのでしょうか?
A.「時価」とは、実際に売買が可能な価格です。わずかな取引実績しかないような場合に、その価格が「時価」となることはありません。
収入の計上時期については、所得税法上は、その収入が「実現」した時点になります。
①単独でマイニングをする場合・・・マイニングした時点
②マイニングプールに接続し、貢献割合に応じて報酬を受取る場合・・・分配額が確定した時点
③その他契約に基づいて、マイニング報酬を受取る場場合・・・契約により、受取る報酬が確定した時点
但し、マイニング報酬については、判断が難しく、売却時点まで課税しなくても良い可能性もあると考えます(その場合、電気代などの経費についても売却時点まで繰り越される)。
又は、「時価」について、実際に行われた取引価格を参考にするのか検討することになります。
上場していない仮想通貨をマイニングした場合や上場していても流動性の低い仮想通貨をマイニングした場合。
質問の通り、一定時点における取引価格と実際の売却金額が乖離することになりますし、不当に高い収入計上になってしまう事になります。
その逆で、価値のない仮想通貨をマイニングすることにより、経費だけが発生し、損失を過大に計上など、やりようによっては、色々と操作できてしまうことも可能です。
収入の計上時期については、①~③です。金額については、「時価」です。
「時価」は、一定時点における取引価格ではありません。現時点において実際に売買すると考えた場合に売買が可能となるであろう価格です。
これが典型的な例です。恐らく自己売買で付けた、たった1回の取引ですが、実際にこの値段で売買できるかとなれば、買い板が並んでおらず、全然、取引がないので、売買できません。売買できなければ、その取引の価格は参考にはなりません。
直近の取引の価格が参考にならないからといって、何も根拠のない価格を付ける訳にはいきません。
そこには何らかの価格(時価)を決定した根拠が必要になってきます。
なので、主要な仮想通貨、BTCなどであれば、市場に流通しており、その時の取引所のレートを時価として算定します。逆に取引所のレートが時価でないとするならば、取引所のレートで売買できない理由と価格の根拠を示さなくてはなりません。
主要な仮想通貨に関しては、取引所のレートを否定して時価を算定することは困難ですが、流動性が低く、まともに売買もされていないような仮想通貨の時価については、根拠をもって価格を決定すれば、否定されるものではありません。
「時価」というのは税務上、仮想通貨に限らず、問題になります。
流動性が低いとは、どうやって判断するのか?
売買実績があるのに、なぜ、その価格で売買できないのか?などなどなどなど・・・
判断するうえで曖昧な部分が多くなってくるため、価格も幅が出てくることになります。
そうすると、あーでもない、こーでもないと争いになる訳ですが・・・。
自分がなぜ、流動性が低いと判断し、その価格を基に円換算(評価)することが適切ではないと思ったのか、その根拠を示せば良いのです。この部分は、割と大丈夫だと思うのですが、じゃぁいくらが適切なの?っていうところがかなり難しい所になりますね。
コメントを投稿するにはログインしてください。