ビットコイン(暗号通貨)所得区分(所得税)①

所得税は、給与所得や事業所得、不動産所得など、その性格によって所得を10種類に区分して計算します。
所得の区分ごとに税金の計算方法が異なってきますので、所得区分を間違ってしまうと、税金の計算に大きな影響を及ぼしてしまいますので、慎重に判定しなければなりません。

所得区分の計算。
・「事業所得」は、収入-経費(経費の特例あり)
・「雑所得」 は、収入-経費
・「譲渡所得」は、収入-経費(取得費等)-特別控除(50万円)

もう少し、「譲渡所得」に関して、計算方法を掘り下げてみたいと思います。
譲渡所得の経費、これは、雑所得や事業所得と比べると経費の対象範囲は狭いです。(ビットコインの所得区分ということですので、法律に何も記されていないため、譲渡所得に該当するとした場合、総合譲渡所得という原則的な扱いになります。)譲渡所得の経費は、取得費+譲渡費用です。
取得費は、ビットコインを取得するためにかかった代金です。日本円をビットコインに交換した価額と交換所などに支払った手数料などが取得費になります。
譲渡費用は、ビットコインを譲渡するときにかかった代金です。ビットコインを日本円に交換する時に交換所などに支払った手数料などが譲渡費用になります。

雑所得の経費は、必要経費と呼ばれます。譲渡所得の経費に加えて、ネット関連費用、水道光熱費、書籍代など、収入を得るために関係する支出が含まれます。更に事業所得とした場合、税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出すれば、10万円(65万円)の特別控除など青色申告の特典を受けることが出来ます。

雑所得と事業所得の区分については、明確に基準が決まっている訳ではありません。業として行っているかどうかによって雑所得と事業所得に区分されます。税法上有利だからと無理に事業所得として申告しても、税務署の判断で認められないこともあります。
個々の状況を、過去の事例や一般の慣習によって判断するしかありません。
・営利性・有償性の有無
・継続性・反復性の有無
・自己の危険と計算における企画遂行性の有無
・精神的あるいは肉体的労力の程度
・人的・物的設備の有無
・職業・社会的地位
・生活状況
・業務から相当程度の期間継続して安定した利益が得られる可能性が存するか
などを総合的に勘案して判断することになります。
過去の判例等からFXや有価証券の売買など大規模に取引を行っていても、取引のみ行っているような場合には、「事業所得」になる可能性は極めて低いと考えるのが妥当でしょう。ビットコインの売買取引のみ行っているような場合には、「雑所得」若しくは「譲渡所得」ということになります。仮に「事業所得」に区分すると、今度は、事業税の対象になるかどうかも検討する必要がでてきます。事業税に該当するか否かについては、別の機会にしたいと思います。

「譲渡所得」と「雑所得」を比較した場合、「雑所得」の方が収入からマイナスすることが出来る経費の範囲が広いですが、「譲渡所得」の特別控除(50万円)を超える経費が発生するかどうかというところです。また、「雑所得」に該当する経費を自分で判定してかなくてはなりません。もちろん「譲渡所得」の取得費と譲渡費用も自分で計算しなければなりませんが、「雑所得」の経費の範囲が広いが故にどこまで含めれば良いのか判断に迷うことになります。個別の事案ごとに判断していかなくてはなりません。「譲渡所得」の50万円控除との差が大きいために所得区分の判定が大事になってくることなります。

次回へ続く。