ビットコイン(暗号通貨)所得区分(所得税)②
「譲渡所得」と「雑所得」のどちらの所得区分になるか。基本的には、「譲渡所得」に該当しなかったら「雑所得」と考えます。ケースに応じて所得区分も「譲渡・雑所得」以外もあり得ます。
したがって、課税時期と同じく、ケース別にみていきます。
・ケース①BTCの交換所で日本円で購入、売却した場合
・ケース②暗号通貨の交換所でBTCで他の暗号通貨を購入、売却した場合(現物)
この2つのケースは、所得区分の扱いとしては同じになろうかと思います。
「譲渡所得」とは、「資産」の譲渡による所得です。
「譲渡所得」の「資産」の範囲とは。
法第33条第2項各号に規定する資産及び金銭債権以外の一切の資産です。
具体的に譲渡所得の対象となる資産には、土地、借地権、建物、株式等、特定の公社債、金地金、宝石、書画、骨とう、船舶、機械器具、漁業権、取引慣行のある借家権、ゴルフ会員権、特許権、著作権、鉱業権、土石(砂)などが含まれます。
「譲渡所得」に含まれない「資産」は、法第33条第2項各号に規定する資産及び金銭債権です。
まず、所得税法33条第2項。これは、土地や建物であっても不動産売買業者などは、たな卸資産扱いだから「事業所得」になります。不動産売買業者でなくても、営利を目的として継続的に土地や建物を売買しているような場合には、「譲渡所得」ではなく、「事業所得」、「雑所得」の区分になります。あとは、山に生えている木は、「山林所得」になります。
ビットコインは「譲渡所得」の「資産」に含まれるかどうか。
ポイントは、
・金銭債権に該当するか
・営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡に該当するか
です。
金銭債権とは、預金、受取手形、売掛金、貸付金、立替金、未収入金等のことを言います。
価値記録とは、通貨でも物でもない価値を持つ電磁的記録のことを言います。
これについては、わかりません。定義されていないので、金銭債権には含まれないということを前提に進めていきたいと思います。今後については、法律が整ってくれば、新資金決済法2条の仮想通貨の定義からすると「雑所得」として取扱いがされることになるだろうと考えています。
半ば、金銭債権については、放棄しちゃってますが、次に、営利を目的として。
ウォレットアプリに入れて決済を目的としているのであれば、営利を目的としてに含まれてこないことになりますが、交換所で売買をする場合は、利益を得る目的で売買していると解されます。あとは、継続的に行われるかどうかですが、ここも明確な基準がないので売買が100回までなら良いとかそういうことではないので、自分で判断すべき部分になります。
ちなみに税務署に質問をした際には、反復継続的に行われているかと業としてやっているかどうかを問われました。業としてはやっていないが、ある程度、頻繁に売買をしている旨を伝えたところ雑所得という回答がきました。「譲渡所得」には、ならないのか。という問いに対しては、売買を繰り返しているなら、「譲渡所得」にはならないとはっきりと言われました。やはり、継続的に行われるかどうかが判断のポイントになります。加えて、「相当の期間」も判断のポイントになっています。この「相当の期間」も何ケ月以上とか明確な基準はありません。
ケース①と②のような場合には、相当の期間にわたり継続的に売買をしていれば「雑所得」、そうでなければ「譲渡所得」というのが結論となります。申告納税制度に則り、納税者自身が相当の期間にわたり継続的かどうかを判断することですので、根拠をしっかり持ってどちらの所得区分で申告をするか決定したいですね。
所得税法第33条(括弧書き省略)
1.譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいう。
2.次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。
一 たな卸資産の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得
二 前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得
通達(譲渡所得の基因となる資産の範囲)
33-1 譲渡所得の基因となる資産とは、法第33条第2項各号に規定する資産及び金銭債権以外の一切の資産をいい、当該資産には、借家権又は行政官庁の許可、認可、割当て等により発生した事実上の権利も含まれる。
譲渡所得の対象となる資産には、土地、借地権、建物、株式等、特定の公社債、金地金、宝石、書画、骨とう、船舶、機械器具、漁業権、取引慣行のある借家権、ゴルフ会員権、特許権、著作権、鉱業権、土石(砂)などが含まれます。
譲渡所得以外の所得として課税されるもの
資産の譲渡による所得であっても、次の所得は譲渡所得ではなく、事業所得や雑所得、山林所得として課税されます。
(1) 事業所得者が商品、製品、半製品、仕掛品、原材料などの棚卸資産を譲渡した場合の所得 → 事業所得となります。
(2) 不動産所得や山林所得、雑所得を生ずる業務を行っている者がその業務に関して上記(1)の棚卸資産に準ずる資産を譲渡した場合の所得 → 雑所得となります。
(3) 使用可能期間が1年未満の減価償却資産、取得価額が10万円未満である減価償却資産(業務の性質上基本的に重要なものを除きます。)、取得価額が20万円未満である減価償却資産で、取得の時に「一括償却資産の必要経費算入」の規定の適用を受けたもの(業務の性質上基本的に重要なものを除きます。)を譲渡した場合の所得 → 事業所得又は雑所得となります。
(4) 山林を伐採して譲渡した場合又は立木のまま譲渡した場合の所得 → 山林所得となります。しかし、山林を取得してから5年以内に伐採して譲渡したり立木のまま譲渡した場合の所得は、事業所得又は雑所得となります。
(5) 上記(1)から(4)までの資産以外の資産を相当の期間にわたり、継続的に譲渡している場合の所得 → 事業所得又は雑所得となります。