ビットコイン(暗号通貨)の必要経費・取得費(所得税)③
商品や製品などは、仕入れた順に販売等されていくものと考え、期末の在庫は期末にもっとも近い仕入時に取得されたものからなるとして計算していく方法です。先に仕入れたものから順次売り出していくという考えは、大半の状況において自然な流れとなるので、実際の資産の流れに一致しやすくなります。デメリットとしては、物価の変動があった場合、価格上昇時には利益が実際よりも多く、価格下落時には実際より小さくなります。ビットコインの価格については、一般的な予想だと将来にわたって上昇していくと考えられているため、短期的に見れば利益が実際よりも多く計上されることになり、その分税金を多く払う可能性が出てきてしまいます。
前年末の在庫の価額の総額と、今年新たに得た資産、仕入高の価額の総額を合わせて、その金額を資産の総量で割って算出した単価を年末の在庫に乗じて計算する方法です。年末まで計算ができない点はデメリットではありますが、計算がとても簡単です。この方法であればビットコインの経費(取得費)の計算も簡単にできると考えられます。
仕入をした時にその時点の在庫とその仕入高から棚卸資産の平均単価を随時計算して評価していく方法です。総平均法と違い、毎回計算をしていくことになるため、計算が複雑になりますが、その分常に現状を把握できるため現時点でどれくらい儲け(所得)が出ているか明確になり、予測しやすくなります。ビットコインに関しては、売買のみならず個人間でのやりとりもあるので、移動平均法のように常に現状の単価が明確になる方が総平均法に比べて有用になります。
また、移動平均法と総平均法に準ずる方法との違いは、総平均法に準ずる方法が「売却」のつど価額を算出するのに対し、移動平均法は「取得」のつど保有分の価額を算出します。総平均法に準ずる方法ですが、移動平均法で算出される価額と通常は同じになりますので、総平均法に準ずるというよりも移動平均法に準ずる方法と言った方が適切なのではないかと思います。
年末に一番近い仕入時の単価を使って価額を計算する方法です。総平均法と同じで年末まで評価ができなくなりますが計算はとても簡単です。棚卸資産の評価方法を税務署に届出をしなかった場合は、最終仕入原価法によって棚卸資産が評価されます。物価の変動があった場合、価格上昇時には利益が実際よりも多く、価格下落時には実際より小さくなります。ビットコインの価格については、一般的な予想だと将来にわたって上昇していくと考えられているため、短期的に見れば利益が実際よりも多く計上されることになり、その分税金を多く払う可能性が出てきてしまいます。ビットコインのように価格の変動が激しい資産については、この方法を選択することは適切でないとも言えます。但し、計算の簡便さを考慮してよほど儲け(所得)に与える影響が大きくないと判断できるのであれば最終仕入原価法も選択の余地があると考えられます。
有価証券の評価方法も棚卸資産の評価方法と考え方は同じです。
「事業所得」の基因となる有価証券を取得した場合には、総平均法及び移動平均法のいずれかを選択します。「雑所得」又は「譲渡所得」の基因となるものを譲渡した場合には、総平均法に準ずる方法によって計算することになります。
ビットコインに関する経費(取得費)の計算方法として、金地金、棚卸資産、有価証券の算定方法をみてきました。ビットコインは金に極めて近い商品だと言われていますが、経費(取得費)の計算方法から考えると、ビットコインは流動性が非常に高く、分割も容易にできることから金の計算方法(個別法)よりも棚卸資産や有価証券の計算方法の方がより実態に即していると考えられます。また、棚卸資産の評価については、販売目的で一時的、短期的に保有する資産であり、価格変動があったとしてもすぐに実現することを前提にしています。ビットコインは、価格の変動が大きいです。その価格変動の影響を大きく受ける先入先出法や最終仕入原価法よりも有価証券の評価方法にも含まれる総平均法・移動平均法・総平均法に準ずる方法でビットコインの経費(取得費)を計算することが実態に即し適切ではないかと考えます。
計算方法としては、有価証券の売買の取扱いが一番近いということでしょうか。
しかし、総平均法の所得計算の結果をみると、価格上昇局面で期末に大量に購入した場合に儲け(所得)の繰延がおこってしまいます。意図的に儲け(所得)を操作できることが十分に可能だということです。「事業所得」の基因となる有価証券を取得した場合の評価方法として、いくつも選択肢があるようにみえて、総平均法に準ずる方法が適用されるのがわかる気がしました。ビットコインの経費(取得費)のどうやって計算するかは、明示されていませんが、もし、紹介した計算方法の中でということであれば、検討していく順番としては、移動平均法(総平均法に準ずる方法)→総平均法→先入先出法→最終仕入原価法→・・・というのが妥当ではないかと考えています。
FX取引が始まった頃、所得税の申告漏れや脱税も多数ありました。ビットコインに関しても同じような状況になってしまう恐れがあります。ビットコインの特性を考えれば、FX取引よりも大変です。儲け(所得)が出たら確定申告しなければいけない可能性があるということを認識しておいてください。
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