ビットコイン(暗号通貨)の必要経費・取得費(所得税)①
所得税は、給与所得や事業所得、不動産所得など、その性格によって所得を10種類に区分して計算します。
所得区分に応じて
・「事業所得」は、収入-経費(経費の特例あり)
・「雑所得」 は、収入-経費
・「譲渡所得」は、収入-経費(取得費等)-特別控除(50万円)
となります。
では、ビットコインを売却した時の経費(取得費)をどのように算定すれば良いのでしょうか。株などは、証券会社など金融機関が集計してくれますが、BTCはそんなことしてくれません。自分で集計する必要があります。
ビットコインに関して具体的な算定方法は明記されていません。しかし、経費(取得費)を計算しなくては、所得を求めることは出来ません。買った1BTCを1BTCのまま売却するのであれば、買った金額=経費(取得費)になるので頭を悩ませる必要はないのですが、BTCを追加取得したり、一部を売却したりなど売買を繰り返し行われると、売却した分と購入した分を個別に対応させることは難しくなります。合理的な算定方法として、金地金などの類似商品の方法を参考にして経費(取得費)を計算を採用して問題ないと考えます。但し、計算した方法は次年度以降も継続して採用することになります。次年度以降については、何かしら税制の取扱いが出てくるだろうと思いますので、その場合には、そちらの取扱いに従って計算することになります。
・金地金
個別法・(総平均法に準ずる方法)
・棚卸資産
個別法・先入先出法・総平均法・移動平均法・最終仕入原価法・売価還元法・(後入先出法・単純平均法)
・有価証券
総平均法・移動平均法・総平均法に準ずる方法
個人が持っている金地金を売却した場合の所得は、原則、譲渡所得として課税されます。ビットコインの所得区分については、以前の投稿を参考にしてください。
・金地金の譲渡所得の金額の計算
1.所有期間:5年超の場合・・・売却価額(収入)―(取得費+売却費用)=譲渡益
譲渡益-50万円=譲渡所得
譲渡所得の金額×1/2=課税される譲渡所得の金額
2.所有期間:5年以内の場合・・・売却価額(収入)―(取得費+売却費用)=譲渡益
譲渡益-50万円=譲渡所得
譲渡所得は、資産を長期間、5年超保有していた場合には、税金が安くなるように計算されます。
譲渡所得を計算するときの取得費については、譲渡した資産の個別の取得価額によることとなります。これを個別法と言います。購入代金が明確に分かっており、取扱い数量が少なく、1つ1つ個別に管理できる場合などに使われる方法です。しかし、頻繁に金地金を売買する場合などには、売却した金地金と購入した金地金とが個別に対応することは非常に煩雑になるため、個別の取得価額により必要経費又は取得費を計算することは困難です。そのような場合には、総平均法に準ずる方法により算出することも出来るとされています。
ビットコインに当てはめて考えると、個別法は困難です。頻繁に売買しなければ可能かもしれませんが、現物の金と違って簡単に分割できちゃいます。残るは、総平均法に準ずる方法です。こちらについては、総平均法と移動平均法と合わせて説明します。総平均法に準ずる方法は、有価証券の評価方法でも算定されていますし、ビットコインの経費(取得費)の計算でも集計しやすいです。計算が困難になることにより誤った申告になってしまうことは、税務署側も望んでいません。納税者にとっても負担がなく申告できる方法を選択していくべきです。