ビットコインについて国税庁のタックスアンサーがでちゃったよ。

国税庁:タックスアンサー№1524ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係
http://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1524.htm

でちゃいましたね。ただ、これは、現行税制に対しての回答であり、所得税法36条に基づいて課税されるのは、想定していた通りだと思います。

・ビットコイン決済、やっぱ課税だよね
・仮想通貨同士のトレード、やっぱ課税だよね
・所得の区分、やっぱ雑所得だよね
ということを、改めて確認。

税務署によって見解が分かれて、課税の公平性を欠かない様にするために出されたと考えられます。なので、仮想通貨の税制が自体が、これで決まったという話でありません。
少なくとも2017年以前の扱いは、現行税制に従うことを決定付けたものにはなるかなと思います。
残念ですが、今後の税制改正に期待しましょう。

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※一般的な税制改正の流れについて。
現在は、各府省庁からの要望を集めている段階です。
当面の検討課題や中・長期的な税制調査会などの話し合いが行われ、12月中旬頃までに基本方針を決め、税制改正大綱が与党から政府案として国会に提出されます。
その後、翌年1月~3月にかけて審議され、4月から施行されることになります。
個人にとって、4月は年度の途中であるため、一般的には、翌年1月から新しい法律に則って所得税を計算することになります(施行された年の1月から適用されることもありますが・・・)。
一般的なスケジュールから考えると本年及び翌年は、今回、回答があったタックスアンサー(現行税制)に従って確定申告をする必要があります。
(こういう流れなので、9月に国税から取扱いあるって、まぢでー!?って思ってたんです。)
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今回のタックスアンサーについて、まずは、この部分。

「ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。」

お店での物品の購入や寿司、焼き肉などの飲食での支払いなどビットコインを使った場合には、使用した時の価額(物品等の円での価額)と購入した時の価額との差額が利益となります。

https://bitpress.jp/column/maruyama/entry-5889.html
ワンチャン期待していた少額決済により生じた利益は課税されないは、もろくも崩れ去りました。せつない。
普段からビットコインを使っているガチビットコイナーは大変です。


A氏は、1BTCを10万円で購入。
その後、BTC決済が出来るお店で50万円のモノを1BTC(50万円に値上りした)で購入。
この場合、50万円-10万円=40万円がビットコインを使用することで生じた利益となります。

「このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、」

逆に10万円で購入した1BTCで、8万円のモノを購入した場合、ビットコインを使用することで生じた損失が2万円ということになります。

同じ年に、この2件しか取引がなかった場合には、40万円-2万円=38万円が所得税の課税対象になります。

次に注目すべきは、括弧書きの「邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益」です。
このタックスアンサー自体は、ビットコインを使用することにより生じる利益についての内容ですが、この括弧書きの解釈に関しては、「使用」だけではなく「譲渡(売買)」に関しても同様ではないかと考えられます。
「使用」と「譲渡」で損益の認識がずれてしまうことは、おかしなことです。

売買損益の認識時点については、売買が成立した時点(譲渡した時点)で課税することは、共通認識としてあったと思います。
1BTCを10万円で購入して、その後、1BTCを20万円で売却すれば、
20万円-10万円=10万円の儲けになり、所得税が課税される。
これに関しては、特に異論はなかったと思います。

しかし、仮想通貨同士の売買になると、途端に売買損益の算出はムズカシイから課税されないという、現行税制においては、根拠もなく(私は、仮想通貨同士の売買が課税されない根拠条文は見つけられていない)、一部の税務署からの回答が一人歩きしているような状況です。
今回、その件に関して、間接的に回答をしていると考えられる部分が、「邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益」になります。

A氏は、1BTCを10万円で購入。
その後、1BTCで10ETHを購入。その時点で、取引所では、1BTCについて、円(邦貨)で50万円の値がついて売買されている。
この場合、ETH購入時、②の時点で、50万円-10万円=40万円が所得として認識されることになります。
(ETHの購入価額は、10ETH=50万円となります。)
じゃぁ、ETH建は、どうか。もちろん、ETHに関しても円(邦貨)やドル(外貨)などでトレードされているので、相対的な関係により売買の都度、損益が認識されることになります。
現行税制に則った考え方ですね。

「ビットコインを使用することにより生ずる利益」について、このような表現が使われており、仮想通貨同士のトレードについて課税するならば、このような表現にはならないのかなぁという、僅かな可能性を残しておきます(個人的には、課税です)。
「邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益」という表現は、面白く、もう少しじっくり考える必要があるかもです。

最後、

「事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。」

ここは、個人事業主で飲食店等を営んでいる場合に、飲食店等の関係で決済した時には、事業所得で扱ってくださいということで、そのほかは、雑所得の取扱いになります。
なので、サラリーマン、パート、アルバイト、学生などは、原則、雑所得です。

所得税の計算は、収入の性格によって、「給与所得」や「事業所得」など、10種類の所得に分類されます。
分類ごとに計算の方法などが異なることになります。

例えば、
譲渡所得(総合)=収入金額-取得費等-特別控除(50万円)
雑所得=収入金額-必要経費
と言うように、譲渡所得(譲渡所得の中にも、細かい区分が色々ある)であれば、特別控除が存在します。
しかし、雑所得には、特別控除は存在しません。その代わり、譲渡所得の取得費等よりも範囲が広い必要経費となっています。

そのほか、雑所得の特徴としては、
雑所得だと、事業所得(青色)のように損失を翌年に繰り越すことが出来ません。
株やFXも損失を翌年に繰り越すことが可能です。それは、法律で定められているため、繰り越すことが可能になっています。
雑所得(原則)には、損失の繰り越しがありません。

また、事業所得などであれば、事業所得を計算すると損失(マイナス)だった場合には、他の所得(給与所得など)の利益と損失を相殺することが出来ますが、雑所得は、他の所得との相殺は出来ません。

ただし、同じ雑所得内、例えば、一口馬主(雑所得)で損失がでていて、仮想通貨のトレードで利益がでた場合、一口馬主で生じた損失と相殺することが出来ます。

以前に雑所得について書いたような書かなかったような・・・。国税庁HPをご参考に。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1500.htm

今回のタックスアンサーは、現行税制に則ってやるしかないね、というのを中途半端ではあるけれども、示した形になるかと思います。

取引所がどこまで対応してくれるかわかりませんが、頑張るべし↓w
http://mr-zeirishi.com/2017/08/05/ccps1/