競馬と馬券
2016年凱旋門賞は10月2日(日)、フランスのシャンティイ競馬場で行われます。競馬の重賞(G1)競走で、距離は芝2400m。
毎年、ロンシャン競馬場で行われていますが、今年は、ロンシャン競馬場が改修工事のため、シャンティイ競馬場での開催となります。
ヨーロッパ最大の競走の一つで、過去には、エルコンドルパサー、ディープインパクト、オルフェーヴルなど、日本の超一流馬が挑み敗れてきたレースです。アメリカ、ドバイ、香港など世界中で開催される競馬ですが、日本では、凱旋門賞を勝つことが世界一という風潮です。
今年は、2016年ダービー馬、マカヒキが参戦します。例年に比べて、少し盛り上がりが欠けているように感じますが、ぜひとも頑張ってもらいたいです。
そして、今年から特徴的な出来事としては、国内で初めて、海外レース凱旋門賞の馬券を買えるようになることです。
海外馬券が購入できるのは、JRAの即PAT、A―PATのみですが、まだ加入していない人も「即PAT」に会員登録すれば、すぐにでも買えます。私は、ネットで馬券が手軽に買える状況は、危険行為なので、以前は利用していましたが、今は解約して利用していません。
しかし、この話を聞くとうずうずしてきてしまいますが、ぐっとこらえます。
馬券といえば、外れ馬券代が経費と認められるかをめぐっては各地で裁判になっています。
有名になったきっかけの事案としては、大阪国税局に告発された裁判です。「自動購入ソフト」によって機械的に馬券を07年から09年のわずか3年の間に、28億7千万円の馬券を購入し、30億1千万円の配当を得ており、利益は約1億5千万円。これが、一時所得ではなく雑所得になると認定されたことにより、通達の改正がありました。
所得税基本通達34-1抜粋
(一時所得の例示)
次に掲げるようなものに係る所得は、一時所得に該当する。
(1) 懸賞の賞金品、福引の当選金品等(業務に関して受けるものを除く。)
(2) 競馬の馬券の払戻金、競輪の車券の払戻金等(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除く。)
(注)
・馬券を自動的に購入するソフトウエアを使用して独自の条件設定と計算式に基づいてインターネットを介して長期間にわたり多数回かつ頻繁に個々の馬券の的中に着目しない網羅的な購入をして当たり馬券の払戻金を得ることにより多額の利益を恒常的に上げ、一連の馬券の購入が一体の経済活動の実態を有することが客観的に明らかである場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、営利を目的とする継続的行為から生じた所得として雑所得に該当する。
・上記(注)1以外の場合の競馬の馬券の払戻金に係る所得は、一時所得に該当することに留意する。
通達に、注意書きが加わりましたが、この注意書き「馬券を自動的に購入するソフトウェアを使用して」・・・とあり、「自動購入ソフト」に限定するような通達の改正になっています。
そうした中途半端な回線により、また裁判になっている東京国税局の事案があります。
2005年から10年にかけて、インターネットを通じて約72億7千万円分の馬券を購入し、利益は約5億7千万円で、払戻金は「雑所得」に当たるとして外れ馬券代を経費として申告。この方は、「自動購入ソフト」は使用していないということで、一審は「一時所得」扱いで、外れ馬券の大部分は経費として認められませんでした。しかし、東京高裁では、一転、「回収率が100%を超える馬券を有効に選別する独自のノウハウに基づき、網羅的な購入で多額の利益を恒常的に上げていた」とし「経費算入を認められた購入方法と本質的な違いはない」として、「雑所得」になりました。つまり、「自動購入ソフト」を利用していなくても、外れ馬券代は経費ということです。そもそも、「自動購入ソフト」だからという理由には、無理があります。あまり、馬券を購入しない方にとっては、一時所得の方がありがたいですが、中途半端な通達の改正ではなく、しっかりと見直しをするべきですね。
なんにしても、日本馬による凱旋門賞制覇。ぜひ、達成してもらいたいです。