平成31年税制改正大綱メモ4~資産課税(相続税・贈与税)など~

自民党、平成31年度税制改正大綱PDF:
https://jimin.jp-east-2.storage.api.nifcloud.com/pdf/news/policy/138664_1.pdf?_ga=2.54110056.1785174464.1544832168-704385204.1544832168

今後のスケジュール

税制改正の法律案が国会に提出され、来年の3月下旬ごろ国会で成立、公布され、4月1日施行という流れが一般的。

したがって、まだ、内容は変わる可能性がある。

資産課税

・個人事業者の事業用資産に係る相続税の納税猶予制度(贈与税も)

個人事業主の事業を継続していく場合、
①認定相続人(中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律の規定による認定)
②担保の提供
③承継計画の策定(認定経営革新等支援機関の指導・助言によって作成され、都道府県に承認された計画)
などが必要になるが事業用資産の相続税を猶予する。

猶予は対象資産の相続税額の100%。

対象は土地建物などの固定資産税の課税対象となるもの、営業車などが対象。

法人の特例事業承継制度と同様に個人事業主の事業承継をしやすくする。

猶予なので、免除要件を満たさなかった場合、将来、納税の必要がある。

法人成りしても継続できる。制度を上手に利用すれば永続的に払わないことは理論上可能。

平成31年4月1日以後。

相続だけではなく、生前の贈与でも同様の納税猶予制度を創設。

・教育資金の一括贈与非課税制度の見直し(2年延長)

①受贈者の所得要件(前年の所得が1000万円超の受贈者対象外)が追加。

②学校外等の教育資金の適用除外(年齢、23歳以降について除外だが、教育訓練給付金対象の受講料は適用対象)が追加。

③信託等をした日が死亡した前の3年以内の教育資金一括贈与は、相続財産に含まれることになった
(今までは直前に死亡しても相続財産に含まれなかったので緊急の節税対策にも使われていた)
但し、受贈者が23歳未満など一定の要件に該当する場合、相続財産に含まれない。

④その他、細かい要件の追加。

もともと都度贈与は非課税。

平成31年4月1日以後。

・結婚・子育て資金の一括贈与非課税措置の見直し(2年延長)

受贈者の所得要件(前年の所得が1000万円超の受贈者対象外)が追加。

平成31年4月1日以後。

その他、全般に民法改正による年齢要件の変更等。

・登録免許税

土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の軽減税率2年延長

20/1000→15/1000(軽減税率)

その他軽減税率関係の2年延長。

・配偶者居住権等(民法改正により創設、平成32年4月1日以降、相続税の評価額)

配偶者居住権とは、相続が開始した時に、原則として配偶者がなくなるまでの間、被相続の住宅に無償で住み続ける権利。
配偶者居住権は、登記が必要。
①あらかじめ遺言書に書いておく(遺贈)
②相続開始後に遺産分割協議などで決める。
 配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合
 居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特に必要があると認めるとき

もともと担保設定等されていた土地等であったとしても、相続開始時に事後的に発生するため、担保処分が難しくなる?→勉強不足。

権利なので、相続税評価額が発生する。

①配偶者居住権
 建物の時価-建物の時価×(残存耐用年数-存続年数)/残存耐用年数×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

②配偶者居住権が設定された建物(居住建物)の所有権
 建物の時価-配偶者居住権の価額

③配偶者居住権に基づく居住建物の敷地の利用に関する権利
 土地等の時価-土地等の時価×存続年数に応じた民法の法定利率による複利現価率

④居住建物の敷地の所有権等
 土地等の時価-敷地の利用に関する権利の価額

登記に際する登録免許税は、居住建物の固定資産税評価額×2/1000